こんな波のグラフの問題,見たことありませんか?
この「y-xグラフが与えられていて,それをもとに y-tグラフを書く」というタイプの問題。 物理基礎の波の中でも,特によくわからないと評判(?)です。 今回はこのタイプの問題へのアプローチの仕方を伝授しましょう!!
波のグラフを書くのに必要な情報を集める
よくわからない問題に出会ったとき,思考停止して諦めるのではなく,シンプルに考えましょう。 今回はグラフを書けと言われているので,どうしたらグラフが書けるのかを考えます。
たとえば1次関数のグラフを書け,と言われたら,形は直線と分かっているので,あとは傾きと切片が分かれば書くことができます。
2次関数のグラフなら,形は放物線と分かっているので,あとは頂点の座標と,上に凸か下に凸かが分かれば書くことができます。
で,今回書けと言われているのは波のy-tグラフ。 まず,y-tグラフの形は正弦波であることが分かっています。

グラフの形が分かっているので,あとは「山の高さ(=振幅)」,「山と山の距離(=周期)」,「通る点」さえ分かれば,グラフが完成します!
問題文のここを見ろ!!
では,①山の高さ,②山と山の距離,③通る点をそれぞれ求めていきます。 どの問題もそうですが,問題文はしっかり読みましょう。
①〜③を求めるのに注目すべき箇所は
ではひとつずつ見ていきます。 まず,①山の高さですが,波のグラフにおける山の高さとは振幅のことです。
振幅はy-tグラフでもy-xグラフでも共通なので,与えられたy-xグラフの振幅を読み取って,それをそのままy-tグラフの振幅として使います。
次に,②山と山の距離ですが,これは①と違って,「y-xグラフの山と山の距離を読み取って,それをそのまま使う」ということはできません!
なぜなら,y-xグラフの山と山の距離=波長なのに対し,y-tグラフの山と山の距離=周期だからです。
つまり,y-tグラフを書くためには波長ではなく周期が必要ですが,問題文には書いてありません。 書いてなければ,求めるまでです。 そう,「波の基本式」ですね!
これで周期が求められました。
最後に,③通る点です。 このタイプの問題は,問題文に必ず「x=◯◯での振動の様子を〜」と書いてあるので,そこに注目します。
問題文で指定されたxにおけるグラフのy座標(波の高さ)を読み取りましょう。 今回の問題は「x=0mでの〜」とあります。
今回与えられたグラフでは,x=0mでの波の高さはy=2.0mです。
さらにもうひとつ,問題文で注目すべき箇所があります。 それは,「時刻 t=◯◯での波形〜」という部分。 y-xグラフとは波の “写真” のことでした。

問題文の t=◯◯とは,カメラのシャッターを押した時刻です。 この情報がなければ y-tグラフは書けません。 今回は時刻 t=0sとあります。
先ほどの座標の情報と合わせると,この問題文とグラフからは「時刻 t=0sのとき,x=0mでの波の高さは y=2.0m」という情報が読み取れます。
ただ,私たちが書きたいのは y-tグラフなので,xに関する情報は消しちゃいましょう。 すると,「時刻 t=0sのとき,波の高さはy=2.0m」となります。 これが y-tグラフの通る点です!
もう1つの例題
上で学んだことをもとに,もう1問やってみましょう。
先ほどと同じ設定ですが,x=◯◯の部分を変えてあります。
さっきと同じやり方で必要な情報を読み取っていくと,
①山の高さ(振幅)→ 2.0m
②山と山の距離(周期)→ 2.0s
③通る点 → 時刻 t=0sのとき, y=0m
となりますが,今回はこれだけではグラフが書けません!!
なぜなら上の条件を満たすグラフは1つではないからです。
最初にやった例題のように,通る点が山(or 谷)ならそのままグラフが書けますが,今回のように通る点が真ん中(y=0)にある場合は,通る点(0,0)から,次の瞬間,グラフが上に行くのか,下に行くのかが今の段階ではわからないのです。
これは1つのアイデアで解決できるのですが,何だと思いますか?
時刻t=0の次の瞬間の動きを何とかして見極められればいいのですが…
前回の補講↓を思い出してください。

そこで学んだ,「グラフを進行方向に少しずらす」という方法を使えばうまくいきそうじゃないですか?
実際にやってみましょう。 今回は x=3.0mにおける y-tグラフを書きたいので,問題文で与えられたグラフを進行方向に少しずらします(問題文の進行方向はこのために書いてある!)。
図の通り,x=3.0mの地点にある媒質は次の瞬間下に動くことが分かります。
今回のまとめノート
説明は長くなってしまいましたが,問題文の見るべきポイントを押さえれば,問題を解くのにそれほど時間はかからないはず。 問題を解いて慣れてしまいましょう!
