本編で力の分解を扱ったとき,分力の大きさは直角三角形の辺の比を用いて計算していました。

しかし,辺の比を覚えているのは,せいぜい30°,45°,60°くらいで,それ以外の角度については分かりません。
そこで,今回はどんな角度の場合にも使える,分力の大きさの求め方をお教えします!
三角比を使って分力を求める
どんな角度であっても分力を求める方法,それはズバリ,「三角比の利用」です!!
利用,といっても難しい応用ではありません。 まずは三角比のおさらいから。
力の分解の図にこれをあてはめて式変形すれば,x成分,y成分が得られます。
52°の三角形の辺の比はわかりませんが,sin 52°,cos 52° の値なら計算機に打ち込めばすぐ求められます。 もちろん52°というのは1つの例であって,他のどんな角度でもsin,cosを斜め方向の力にかけ算することで分力を求めることが可能です。
どっちがサインでどっちがコサイン?
ところが力の分解は,いつも水平方向と鉛直方向への分解とは限りません。 たとえば斜面上の物体にはたらく重力は斜面方向と,それに垂直な方向に分解します。
さて,分力を求めるには 元の力 mg にsinθ か cosθ をかけてやればいいわけですが,斜面方向とそれに垂直な方向,どっちが mgsinθ で,どっちが mgcosθ かすぐに判断できますか?
もちろん三角形の向きを変えて考えれば分かりますよね!
しかし,いちいち向きを変えて考えるのも面倒です。 何か規則性はないのでしょうか?
いくつか例題をやってみましょう!
まずは自分で考えて,答えを出してから続きを読んでください。
問の答えは,(1)② (2)① (3)② (4)② です!
さて,Fsinθ と Fcosθ の規則性はわかりましたか?
実は,こうやって簡単に見極められます!
これを押さえておけばいちいち三角形を書いたり,向きを変えたりしなくていいので楽チンです! ぜひマスターしてください!
今回のまとめノート
三角比が出てくると拒否反応を示す人が多いですが,実際はそんなに難しいものではありません。 たくさん問題を解くうちに慣れるものなので,三角比が登場する問題も毛嫌いせずに,どんどん挑戦してください!
