今回は「物体の揺れ方」について学びましょう!
小さいころブランコで遊んだ経験は誰にでもあると思います。 ブランコの揺れ幅を思い浮かべてください。
小さい子どもは小さい揺れで遊びますが,小学生ぐらいのやんちゃな子だと,めちゃくちゃ大きく揺らして遊んだりしています。 このように揺れ幅はブランコの乗り方によって変わるということが分かります。
一方で,ブランコの速さはどうでしょう?
ブランコを速く(または遅く)漕いでいる人を見たことありますか?
ないですよね!!
誰がどう乗ろうと,ブランコの振動数(1秒間に振動する回数)は変化しません。 どんなにブランコで遊び慣れていても,揺れの速さをコントロールすることはできないのです。
固有振動とは
コントロールできないということは,「ブランコが揺れる振動数はあらかじめ決まっている」と解釈することができます。
実はどんな物体も,その物体ごとに「固有振動数」と呼ばれる,“揺れやすい振動数” が決まっていて,物体を揺らすと,その固有振動数でしか振動しない,ということが知られています!!(強い力で揺らしても変わりません!)
固有振動数で物体が振動することを「固有振動」といいます。
固有振動を利用した有名な道具として「おんさ」が挙げられます。 おんさは決まった高さの音を出す道具ですが,音の高さは振動数で決まるので,おんさはいつも決まった振動数でしか振動していない!ということになります。
ブランコが同じリズムでしか揺れないのと同じで,おんさも同じ振動(=固有振動)しかできません。 だからいろいろな人がいろいろな力で叩いても一定の音が出るんですね!
共振(共鳴)とは
話はまたブランコへ。 子ども時代,ブランコを立ちこぎしたことがあると思います。 立ちこぎの場合,最初どうやって勢いをつけますか?
座面に立ってブランコに乗ると,地面を蹴れません。
友達に背中を押してもらうのもいいですが,自分1人でもブランコを揺らすことが可能です。 体の重心を前後にリズムよく移動させると,勢いがついて,やがてブランコが揺れ始めます。
外から押されたわけではないのに揺れ始める… これってよく考えたら不思議ですよね??
実はこれが今回のもうひとつのテーマ,「共振」です!
共振とは,静止している物体に,その物体の固有振動数に合った力を加え続けると,固有振動を始める,という現象です。
固有振動に合ったリズムであれば,たとえ弱い力でも,最終的には大きな振動を得ることができます。
同じおんさを2つ用意して,片方を叩いて鳴らすと,もう片方も鳴り出す(叩いてないのに!)という現象が起こります。
おんさが周りの空気を振動させ,その振動が伝わって,もう1つのおんさを揺らすのですが(同じおんさなので,固有振動数も同じ!),空気の振動という弱い力でも,音が聞こえるレベルまでおんさを大きく揺らすことができることを意味しています。
(このような音に関係する共振は「共鳴」とも呼ばれます)
さて,立ちこぎの重心移動での始動は共振によるものですが,リズム感のない人は立ちこぎが下手くそです(私がそうでした笑)。 共振のポイントは,「固有振動に合ったリズムで」力を加えることです。 不規則なリズムだと,仮にそれが強い力であっても,大きく揺らすことはなかなか難しいです。
共振と地震
ブランコの例はなんだかほのぼのしますが(立ちこぎは危ないけれど!笑),怖い現象も挙げてみましょう。 すぐに思いつくのは地震です。
建物も物体なので,固有振動数が存在します。 もし地震の揺れの振動数と,あなたの家の固有振動数が一致していたら共振が起こってしまいます!!
リズムさえあっていれば,空気の振動のような小さい力でも,金属の塊であるおんさを共振させることができるぐらい,共振というのは大きい影響を持つ現象です。 地震でそれが起こったらひとたまりもありません。
もちろん現代では,建物は固有振動を考慮して設計していますのでご安心を。
共振の話は検索すれば他にもいろいろ出てくるので,興味があればぜひ調べてみてください! 人が歩くときの振動が原因で共振が起こった(!)とか,おもしろいものもたくさんあります。
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。

次回予告
次回は弦楽器を例に,固有振動の計算をしてみましょう!
