核反応と核エネルギー

核エネルギーと聞いて,皆さんは何を思い浮かべるでしょう?

世間では,「危険なもの」という認識をしている人が多い気がします。

本当にそうなのかな? 今回はその辺の知識を深め,正しく認識できることを目指しましょう!

 

 

「核=危険」は大間違い!

ラザフォードは窒素ガスにα線を照射すると,窒素の原子核から陽子(=水素原子核)が飛び出し,酸素原子が生成されることを発見しました。

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これはすごい発見ですよね!?

通常の化学反応では原子の組み合わせが変わるだけで,原子そのものが変化することはないので, 窒素が酸素に変わるなんて普通は考えられません!!

しかし,ラザフォードはα線を使ってそれをやってのけたわけです。

このように,ある原子核が別の原子核に変化する反応を原子核反応といいます。 略して「核反応」!!

…おわかりですか?

日本人が嫌悪感を示す「核」という用語ですが,これはただ単に「原子核」の略であって,それ以上でもそれ以下でもありません!

名前に “核” がついていたら全部危険,という思い込みは捨ててください。

 

ところで,化学反応では反応の前後で原子の総数は変わらないという大原則がありましたが,核反応ではどうでしょう? 

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ただし,核子がくっついたり離れたりするときにエネルギーの出入りが起こるので,質量数が変わらなくても,質量は変化することに注意してください。

 

 

核分裂反応

核反応が利用されている場面は,言わずもがな原子力発電。

原子力発電所内の原子炉で行われている核反応は,核分裂」と呼ばれる種類のものです。 核分裂とは名前のまんまで,1つの原子核がいくつかの小さい原子核に分かれる反応のことをいいます。

なぜ核分裂が起きるのかというと,質量数が大きい(具体的には56以上)原子核は,そのままでいるよりも2つに分かれたほうがエネルギーが低くなって安定するためです(原子核は常に安定した状態を求めている!)。

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このように核分裂では,分裂前後のエネルギー差が核エネルギーとして放出されますが,原子力発電はこれを利用した発電方式です!

 

核融合反応

核分裂は大きなエネルギーを取り出すことができますが,分裂し終わった原子核には使い道がなく,放射性廃棄物となってしまいます。

この処理を巡っていろいろゴタゴタも起きていますよね…(^_^;)

とにかく,現在ある発電方法は何かと引き換えです。 火力発電なら二酸化炭素,原子力発電なら放射性廃棄物。 太陽光や風力はそもそも発電量が…(察し)

 

しかし! 実は何の犠牲も出さずに多量の発電を行う方法を人類は知ってるのです!

それが「核融合」!!

原子核のエネルギーが安定するのは質量数56あたり(Feの原子核)。

質量数が大きい原子核は,分裂して質量数を56に近づけようとしますが,逆に軽い原子核は結合することで安定を図ります。

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ただし,原理はわかっていても技術的なハードルは高く,核融合はまだ実用化の域には達していません。

(※ 原子核は正電荷なので,核融合させようと近づけても反発してしまう。 核融合を起こさせることと,それを持続させることが困難。)

ちなみに,自然界で核融合が唯一実現している場所は恒星内部。

太陽などの恒星はその中心で核融合反応を行い,そのエネルギーで光っています。

f:id:ph-km86-ma:20190915205347p:plain核融合発電を地球上で実現するということは,太陽内部と同じ仕組みを地球上に作り出すということ。 いやー,難しそう。

でも,もしできたらすごくないですか?

発電に必要な材料は水素,発生するのはヘリウム。 こんなにクリーンなエネルギーってありますかね??

あ,そうそう,質量をエネルギーに変えてるわけだから,発電する度にこの世から質量がちょっとずつ減っていきます。 ちなみに太陽は毎秒430万トンずつ軽くなってます(!)

 

 

我ら星の子

「我々の身体は,星のカケラでできている」という話をして締めくくりましょう。

これは比喩でもなんでもなく,純然たる事実です。

先ほど説明したように,太陽の中では水素を核融合させてヘリウムをつくっていますが,太陽よりも重い恒星ではリチウムやベリリウムなど,さらに原子番号の大きい元素がつくられています。

すべて元素はこのようにして星の内部でつくられて,最終的に超新星爆発によって宇宙にばらまかれます。 

そう,私たちの身体をつくっている原子は,大昔どこかの星の内部にあったということです!

うーん,深い…

 

今回のまとめノート

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これで高校物理の原子分野はすべて終了です。

ミクロの世界について見てきましたが,「広く浅く」で終わってしまったのが残念。

まだまだ奥が深く,面白い現象がたくさん転がっているのですが,この話の続きは,大学の「量子力学」という分野で学ぶことになります。

私の道案内はここまで。 必要になったらいつでも復習しに戻ってきてください。