電磁気

電圧(電位差)

オームの法則の登場人物(?)紹介もいよいよラストです!

抵抗・電流と来たので,残るは電圧。 これまた小学校からずーっと出てきているので,知らない人はいないはず…なのですが,間違って理解している人が多いと感じます。

「回路に電池をつなぐと,電圧が生じて電流が流れる」

これはもちろん正解。 しかし,イメージを間違っている人が多いのです。 その間違いをひとつずつ見直していきましょう。

電圧に関する間違いその①

「回路に電池をつなぐと,電池の中にあった電気が流れ出る。やがて電池が空っぽになると電流が流れなくなる」

小学生で初めて電池について習うときに,陥りやすい間違いであり,勘違いしたまま大人になってしまう人も多いです。 正しく理解しましょう!!

まず,電池の中に電気は入っていません!!

では流れる電流はどこから来ているのでしょうか。 これまで学習した知識を思い出してください。 導線を流れる電流の正体は自由電子です。 そして,自由電子とは導体の中に豊富に存在しているのでした。

つまり「電池をつなぐと電流が流れる」というのは,電池から電気が出ているのではなく,もともと導線の中にあった自由電子が動き出しただけなのです。



電圧に関する間違いその②

電圧とは電気の圧力である。つまり,電池をつなぐとその圧力が導線内の自由電子を押し出して,電流になる。」

一見問題なさそうですが, 押し出すというイメージは正しいでしょうか?

小学校の時に,電池の直列接続と並列接続について習いますが,「豆電球に2つの電池を直列につなぐと,豆電球の明るさは電池1つのときより明るい,並列につなぐと,豆電球の明るさは1つのときと同じ」という事実を思い出してください。

もし電池が電子を押し出しているのだとしたら,直列も並列も電池2つ分の力で押していることになるので,並列のときも豆電球は直列と同様に明るくなるはず。 でも実際には並列の明るさは電池1つのときと同じ。。。

実は,電圧の正しいイメージは実は「圧力」ではなく「高さ」です! 電池は回路に高さを与える装置だと思ってみてください。

電池の負極側よりも正極側の方が高い位置にある,とイメージしましょう。 電流は電池の正極から出て,負極へ向かって流れるわけですが,それはつまり,電流は水の流れと同じように,高い方から低い方へ向かって落ちているだけなのです。

電池は「高さ」を提供しているだけで,押し出しているわけではありません。 これが電圧の正しいイメージ。

より正確には,電源を通じて高さが上がり,抵抗を通ることで高さが下がります。

回路というのは電流が流れ続けるわけですが,それは電源と抵抗で上がって下がってを繰り返しているからなのです。 これには,すべり台で遊ぶ子どものイメージがピッタリ!

補足:抵抗で下がる高さ(電圧)のことを電圧降下と呼びます。

さて,長くなりましたが,直列接続,並列接続での豆電球の明るさの違いがこれですんなりと説明できます。



電圧の別名

電圧という名称はちょっと正しいイメージとかけ離れています。 漢字だけ見るとどうしても気の力だと思ってしまいますよね。

だれがこんな名前つけたんだ

幸いなことに,電圧は別名電位差とも呼ばれます。 こちらの名前は,気の世界における置の,ということで,イメージを正しく表していると言えます。 今後はこちらの名前を使うことも多いので覚えておいてください。

今回のまとめノート


時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。

【演習】電圧(電位差)電圧(電位差)に関する演習問題にチャレンジ!...

次回予告

抵抗,電流,電圧のすべての説明が終わり,これですべての準備が整いました。 次回はいよいよオームの法則の中身に入ります!

オームの法則オームの法則を用いれば,回路を実際に組むことなく,回路に流れる電流を求めることができます!そんなすごい法則,使いこなせないなんてもったいない!...
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