熱機関と熱効率

ここまで熱について勉強してきたわけですが,熱が生活に役立っている例を挙げろと言われたら何を思い浮かべますか?

 

いろいろ考えられますが,一番は間違いなくエンジンでしょう。

自動車のガソリン機関,船舶のディーゼル機関,古くは機関車でおなじみの蒸気機関など,これらは燃料を燃やしてできた熱を仕事に変える装置です。

このように熱エネルギーを仕事に変換するものを「熱機関」と呼びます。

 

 

熱機関のはたらき

エンジンの具体的な構造はここでは触れません。

物理として興味があるのは,熱機関が熱を仕事に変えたときに「機械がどう動くか」ではなく,「現象として何が起こるか」です。

ということで,具体的なエンジンの構造は無視して話を進めます。

 

まず,熱機関を動かすには当然ながら熱が必要です。

車の場合,ガソリンを燃やして熱を得ます。

そして,その熱を仕事に変換するのですが,得た熱量すべてを仕事に変えるわけではありません。

仕事にならなかった熱は排熱としてそのまま放出されます。

 

まとめると,熱機関のはたらきとは,

① (高温の物体から)熱を得る

② その一部を仕事に変換する 

③ 仕事にならなかった熱を(低温の物体へ)放出する

の3ステップになります。

 

具体的な数値を与えて補足しておきましょう。

例えば①で1000Jの熱量を得て,②で300Jの仕事をした場合,③で放出される熱量は700Jになります。

エネルギーは途中で増えたり減ったりしないので,②と③の合計は,必ず①で得た分に等しくなります!

 

 

熱機関の効率

熱機関は得た熱量すべてを仕事にするのではない,と言いましたが,実際どれぐらいの割合が仕事に変換されるのでしょうか?

得た熱量のうち,仕事となった割合のことを「熱効率」といいます。

(計算式はまとめノートで紹介します)

 

もちろん熱効率が高いほど,「効率がいい」熱機関です。

ちなみに最古の熱機関である,蒸気機関の熱効率は0.1〜0.2ぐらいです。

(熱効率は得た熱量を1としたときの割合として表すことが多い)

さて,それではガソリン機関の熱効率はどれぐらいだと思いますか? 

0.5? 0.7? それともほぼ1?

  

答えはなんと,およそ0.2〜0.3ぐらいです!

蒸気機関と比べてもあまり変わらない熱効率。

なんと入れたガソリンの7〜8割は動力に使われていません。

これはショッキングな事実(笑)

熱効率を改善するのことがとても難しいというのがわかります。

このあたりの問題は機械工学の分野なので,深入りしません。

気になる人は各自調べてみてください!

 

今回のまとめノート

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次回予告

次回で物理基礎の熱分野は最終回です。

最後は熱力学の第2法則について見ていきます! 

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